Outline
施工概要
物件名
|
T.Labo project
|
---|---|
物件種別
|
オフィス兼ショールーム
|
所在地
|
大阪府
|
工期
|
約2ヶ月
|
Details
施工詳細
「人」をつなぐオフィス兼ショールームリノベーション
東大阪で鉄とステンレスを中心に、オーダーメイド内装金物を製作されているT.labo様のオフィス兼ショールームのリノベーションをご紹介します。
今回ご紹介する物件は、他愛もない会話から内装だけに留まらない大きなプロジェクトへと進化していきます。
はじまりは、T.labo様との何気ない会話からでした。
─T.labo様
会社として今「進化」していかないといけないタイミングなんですよね。
目まぐるしく変わる社会の変化に柔軟に対応しなければと感じています。
─ミヤモト
では、「進化」をキーワードにした楽しくてワクワクするプロジェクトを僕と一緒に考えてみませんか?
「進化」するにも何をするにも、会社は「人」で作られており、その会社に訪れるお客さまも「人」です。
その「人」たちがつながる空間を実現させるため、「人」をつなぐというリノベーションプロジェクトが始動しました。
プロジェクトに関わる「人」を考える
T.labo様は、小さな町工場からはじまり今では大きな工場を構えるまでに事業を拡大された、オーダーメイド内装金物を製作されているモノづくりの企業です。
企業としてさらなる成長を促すため、このような課題に悩まれていました。
─T.labo様
「工場」という男臭いイメージを払拭し、子どもから大人まで幅広い人に向けて鉄をもっと親しみやすくするという目標を掲げ、新しい工場の在り方を考えたいんです。
しかしながら世の中にどう発信していけばいいのか。
まず社内でどのようなことをすれば良いのか。
これまで全く考えもしてこなかった分野へ挑戦し、「進化」のきっかけをつくりたい。
ここでは書ききれないのですが、本当に熱い想いをミヤモトへ語っていただいたことがとても印象的でした。
と同時に、弊社と一緒に活動している様々な分野のクイエイターも巻き込めば、絶対に良い化学反応が起きると確信した瞬間でした。
少しでも企業様へ何か協力ができればという想いと、我々も一緒になって進化していきたいという想いで、空間づくりを軸に内装のプランニングにプラスアルファをしたご提案をさせていただきました。
重要な2つのポイントの「人」
今回のリノベーションプロジェクトを進めていくうえで、基礎となるコンセプトのポイントは2つありました。
- 社内的「進化」
社内の「人」が自然と集まれる空間づくり。(ミーティングや食事、社内イベント開催など。) - 社外的「進化」
社外の「人」が気軽に集まれる空間づくり。(ショールームやワークショップ開催など。)
まずこの2つのポイントを軸に、弊社でリノベーションプランを考えさせていただきました。
社内コミュニケーションに配慮した「良い距離感のワークスペース」
オフィスのワークスペースとして、同じ職場で働く「人」とつながる空間を作る。
全社員約60名を収容できる空間は、人と人との良い距離感を作れるよう、どの位置に座っていても顔が見えるよう計画。
会議スペース、カフェスペースも併設し、社内でのミーティングやパーティなどもこの空間ですべて完結する空間を目指す。
目で見て触れる「体感できるショールーム」
ショールームとして、訪れた「人」と金属製品を通じてつながる空間を作る。
「鉄を身近に感じてもらう。」というコンセプトのもと、内装のほぼすべてを金属で構成するという計画。
T.labo様のオリジナルアイテムである金属製のスツールやテーブルをレイアウトすることはもちろんのこと、壁や間仕切りなどもほぼすべて金属にすることで、内装全体で金属製品を体感できるという空間を目指す。
実際のプレゼンテーション資料 – その1
▲クリックで資料を詳しく見ることができます。
コンセプトの2つのポイントを軸に、まず「社内環境・社員のワークスタイル」「社外からの見え方」を考え、空間としてどのような在り方を目指していくべきかをエリアに分けてご提案しました。
実際のプレゼンテーション資料 – その2
▲クリックで資料を詳しく見ることができます。
社内的な動きをメインで捉えた空間、社外的な動きをメインで捉えた空間、大きく2つのポイントをミックスさせたエリアを含め、合計6つのエリアで構成。
各エリアの目的と考え方、空間イメージを参考写真を交えてのご提案です。
実際のプレゼンテーション資料 – その3
▲クリックで資料を詳しく見ることができます。
実際の区画に当て込んだ平面プランでさらに詳しくご提案します。
ここでの空間レイアウトイメージとして、区画の周りがセンターに向かって目線を送れるようなイメージで、ラグビーがお好きでかなり力を入れていらっしゃる企業様ということもあり、スタジアムっぽさを平面上で表現しています。
Before – リノベーション前の様子
まずはリノベーション前の空間をご覧ください。
ここはもともと工場だったフロアです。
After – リノベーション後の様子
リノベーション前の空間はもともと工場だったフロアですが、コンセプチュアルな空間へと生まれ変わりました。
金物屋さんならではの特徴を存分に活かし、空間のいたるとことに鉄やステンレスなどの金属を使用しています。
すべての「人」を巻き込む
今回のプロジェクトの大きな特徴として、これまで様々な空間をプロデュースしてきた中でも全く新たな切り口でご提案させていただいた点が1つあります。
それは、このリノベーションプロジェクトに対して、企業様ご自身の関わり方もご提案したという点です。
通常は、空間すべてに対して弊社がご提案し空間を作る、という流れとなりますが、今回弊社としては全体の7割程度のご提案しかしていません。
残りの3割をどうしたかというと、その3割を企業様に考えていただく、という切り口で取り組みました。
単に3割を企業様に考えてほしいとお伝えしたわけではなく、このリノベーションプロジェクトにおいて企業様側で若手の社員様を含めたプロジェクトチームを新たに構成してもらうところからスタート。
空間が完成してから社内が進化しようとするのでは遅いと考え、今まさに会社が進化しようとしている取り組みに若手の社員様が参加しないことほど勿体無いことはないと思いました。
これが社内的「進化」への最初のアプローチとなりました。
組織を巻き込んだプロジェクトを進めていく時に、次の2つの方法では大きな差が生まれます。
- 組織の上層部のみが考えた空間を作り、その空間を若手社員が運営する。
- 組織の上層部の考えを若手社員が理解したうえで、どのように運営していくかを想像しながら意見を出し合い空間を作り、その空間を運営する。
組織の上層部のみが考えた方針ではなく、未来を担う若手の社員様一人ひとりが参加し、組織として全員を巻き込んだ「2」の状態の方が、社内的「進化」が早く感じられるはずです。
この進め方をプロジェクトスタート時点から実践するべく意識改革できないかと模索し、我々としても新たな関わり方として取り組みました。
大枠や全体的なデザインバランスなどのベースは弊社で企画し、それに紐付く素材や什器家具などのデザインや色合いなどを企業様側のチームで考える時間を作っていただく。
それらを弊社に逆提案していただく場を設けプロジェクトを進めていきました。
この進め方は我々としても斬新で、若手の社員様ならではのご意見を聞くことができる貴重な機会となりました。
ミーティング中、「確かに。」「なるほど。」という言葉が多く飛び交っていたことが印象的で、双方刺激となっている実感がありました。
関わるすべての「人」がクリエイター
T.labo様は、物や商品を製造するということに関してプロフェッショナルな方々。
しかしながらそれらを用いた空間を作るとなると、非常に苦戦されていた場面もありました。
内装・空間として実現が困難な高い壁にぶつかることもありましたが、そこは我々の出番です。
弊社のコンセプトのとおり、深くコミュニケーションをとり協力し合うことで、携わるすべての人がクリエイターとして取り組むことがでました。
また、このプロジェクトでは直接内装に関わるクリエイター以外に、映像ディレクター、映像クリエイター、カメラマン、SNSコンテンツクリエイターなどを弊社からアサインしました。
ルームツアーやその他の撮影にお立会いいただいた際、撮影現場や映像ディレクターの様子を見て刺激を感じていただけました。
これがきっかけで、企業としてのSNSを中心とした情報発信と、それを運営する社内の「人」の重要性を感じ取られ、SNSを中心とした広報チームを新たに構成されたようです。
ここでも「進化」を生み出すことができ、弊社としても内装だけに留まらずお手伝いができたことが、とても貴重な機会となりました。
完成後、早くも若手の社員様が中心となり、ワークショップなどのイベントを社外に向けて積極的に行っておられるようです。
社内的にも、これまでお昼ご飯時には自分のデスクや小さな会議室で個々に食事をしておられたそうですが、今は自然と集まって会話などを楽しんでお昼のひとときを過ごされているそうです。
Participated creators