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宮本嘉明(株式会社nine for)

yoshiaki

miyamoto

We are a creative team
that revolutionizes spaces.

宮本 嘉明

  • nine for CEO
  • Director
  • Planner

神戸芸術工科大学卒業後、株式会社SPACEへ入社し商空間プロデュースを経験する。
その後、Re:Mansion(リマンション)を運営している株式会社Re-createへ転職。高級リノベーションの経験を積み、2022年株式会社nine forを設立する。

Interview

インタビュー

なぜ「正解」ではなく「納得」なのか

ナインフォーの理念「正解より、納得。」という言葉に込めた想いについて教えてください。

誰かが決めた正解を押し付けるのではなく、住む人自身が心から納得できる住まいを共につくっていきたいという思いが込められています。

「正解より、納得。」の住まいづくりを経て、最終的にお客さまに提供したい「価値」とは何でしょうか?

その結果として得られるのは単に美しい家ではなく、「自分らしく暮らせる場所」と「そこで積み重ねられる豊かな時間」であり、そんな価値をお客さまに提供したいです。

 

抽象的な「違和感」を「空間」へと翻訳する

言葉にできない「大きな不満はないけれど、なぜかしっくりこない」という違和感を、どのようにして具体的なデザインへと変えていくのでしょうか?

「大きな不満はないけれど、なぜかしっくりこない」という感覚こそが、住まいづくりの出発点なのだと思います。

多くの場合、「こうしたい」というご要望よりも先に、「なんとなく落ち着かない」「家に帰っても気持ちが切り替わらない」「部屋は広いのに窮屈に感じる」といった曖昧な違和感を抱えられていると思っています。

その違和感の正体を言葉にできる人は少ないと感じます。

確かに、自分でも理由がわからないまま「何かが違う」と感じることは多いですね。その正体をどうやって探っていくのですか?

重視しているのは、その曖昧な感覚をすぐに間取りやデザインの話に変換しないことです。

例えばよくヒアリングで、「一日のどの時間が好きなのか」「休日はどんな過ごし方をしているのか」「子どもの頃に心地よかった場所はどこか」「どんな瞬間に“自分らしい”と感じるのか」といった対話を重ねながら、その人の価値観、生活スタイルやリズムを掘り下げていきます。

かなり深い部分までお聞きになるのですね。そこまで掘り下げることで、どのような気づきが生まれるのでしょうか。

最初は「なんとなく落ち着かない」という曖昧な違和感だったものが、「本当は家族の気配を感じながら過ごしたかった」「一人になれる場所が不足していた」「片付けの問題ではなく、動線の問題だった」「光の入り方にストレスを感じていた」「モノではなく余白を求めていた」というように、少しずつ紐解けていきます。

なるほど。抽象的な感覚が、具体的な課題として見えてくるのですね。

いきなり答えを出すというよりは、「違和感」→「価値観」→「暮らし方」→「空間」へと翻訳していく作業と言えばわかりやすいと思います。

例えば「家族との時間を大切にしたい」という言葉だけでは、デザインはまだ生まれません。

その人にとっての家族時間が「みんなで同じ空間にいること」なのか、「それぞれ好きなことをしながら気配を感じられること」なのかによって、ご提案できる空間は全く変わると思っています。

結果的に、対話によって見つかったご本人の価値観が、自然とデザインとして現れてきます!

 

プロフェッショナルとして迎合はしない

ナインフォーの指針には「迎合はしない」「違和感を曖昧にしない」という強い言葉があります。お客さまに対してあえて「No」を言うこともある、その真意について教えてください。

お客さまから具体的なご要望をいただくことがあります。

「SNSで見たからこの間取りにしたい」「流行っているからこの素材を使いたい」「とにかく収納を増やしたい」「リビングをできるだけ広くしたい」など、これらのご要望には理由がありますが、「わかりました」と即答はあまりしません。

そのご要望が本当にその人の暮らしを豊かにするとは限らないからです。

お客さまの希望をそのまま受け入れることが、必ずしも幸せにつながるとは限らない、と。

例えば、「収納を増やしたい」というご要望の裏には、「物が多いことへのストレス」「片付けへの苦手意識」「家族との生活動線の問題」など別の課題が隠れていることがあります。

もし表面的なご要望だけを実現したら、お客さまは一時的には満足するかもしれませんが数年後に「思っていたのと違った」と感じる可能性があります。

なぜそうしたいのか、本当に必要なのか、とよく問いかけます。

 

リノベーションについて熱く語る宮本嘉明(株式会社nine for)

プロとして、ご要望の先にある「本当の必要性」を見極めていらっしゃるのですね。

その結果として、時には「それはおすすめしません」「その選択は将来的に後悔するかもしれません」とお伝えすることもあります。

単なる反対ではなく、「お客さまの人生を豊かにする確証が持てない選択なら、簡単には賛成しない」という意図が含まれているのかなと思います。

「No」と言うことは、ある種のリスクもあると思いますが、それがお客さまとの信頼関係にどう影響するのでしょうか。

「No」は関係を壊すのではなく、信頼をつくると思っています。

一般的には、お客さまのご要望をすべて叶えることが良い接客だと考えられがちです。

ですが、住まいづくりは数十年単位で暮らしに影響する大きなライフイベントです。

ナインフォーが考えるお客さまとの関係性は、「お客さまが常に正しい」「プロは要望を実現するだけ」ということではなく、同じ方向を向いて住まいを考えるパートナーに近い関係性です。

対等なパートナーとしての関係を大切にされているのですね。

お互いの理解が深まり、単なるご依頼主と施工会社ではない関係が育っていくと考えています。

「この提案は本当にその人らしいのか」「暮らし方と空間が噛み合っているのか」「予算配分は適切なのか」「将来も愛着を持てるのか」そうした引っかかりを見過ごさない関係という意味でもあります。

そのプロセスを一つひとつ積み重ねることが、「正解より、納得。」という理念にもつながってると思います。

「何でも言うことを聞いてくれる会社」ではなく、必要なときには率直な意見を伝え合える関係を築いていきたいです。

 

 

プロセスが紡ぐ自分らしい住まい

ブランドステートメントの「過程を大切にする」という言葉が印象的ですが、打ち合わせから施工、そして完成に至るまでの「過程」を大切にすることが最終的な住み心地にどう影響するのでしょうか?

単にご要望を集める打ち合わせではなく、お客さまご自身の価値観を見つけるための対話を大切にしています。

「ストーリーが大事なんです」とよく言います。

その対話の中で、「ご家族が大切にしたい時間」「将来の暮らし方」「何に予算をかけたいか」「どんな空間に安心を感じるか」が少しずつ明確になっていきます。

すると住まいは「つくってもらったもの」ではなく、「自分たちで育てたもの」という感覚に変わります。

この感覚は、完成後の愛着に大きな影響を与えます。

「自分たちで育てた」という感覚があれば、家への思い入れも全く変わってきそうです。

完成はゴールではなくスタートだと考えています。

「ストーリーを大切にする」住まいづくりでは、完成した瞬間がゴールではなく、完成後に暮らしが変化しても、「あの時こう考えて決めた」という記憶が残ってくれています。

家を単なる箱としてではなく、自分たちの人生の一部として受け止めやすくなります。

だからこそ、その過程が丁寧であるほど、完成後の住み心地は単なる「快適さ」を超えた、自分らしくいられる心地よさへとつながっていくのだと思います。

 

200件以上の実績から見えた「本当に良い空間」の条件

200件以上の空間を手掛けてこられた宮本さんから見て、10年後も「良い空間」と思える場所に共通する要素は何でしょうか?

時間の経過とともに、住む人や使う人との関係性が深まっていく空間を意識しています。

10年後も「良い空間」と感じられる場所の共通点として、長く愛される空間は必ずしも最新のデザインや強い個性を持っているわけではなく、「住む人の価値観に合っている」「日常の行動が自然に収まる」「無理なく使い続けられる」「経年変化を受け入れられる」「暮らしの変化に対応できる」といった特徴を持っています。

トレンドを追うよりも、普遍的な「自分たちらしさ」が重要ということですね。

完成直後は誰もが「新しさ」を評価しますが10年後に残るのは新しさではなく、「この家が自分たちらしい」という感覚です。

流行は変わりますが、自分たちの価値観に根ざした空間は古くなりにくい。

だから長く愛される空間は、トレンドよりも暮らしそのものに焦点を当てていることが多いのだと思います。

10年後を見据えた納得感を作るために、具体的に大切にされていることは何ですか?

設計段階で最も重視しているのは、間取りや素材の選定そのものではなく、「なぜその選択をするのか」を共有することだと思います。

「あの時の考え方は今でも納得できる」という感覚が残ってくれると信じています。

この納得は、見た目の満足感よりも長く続きます。

「ご家族は5年後どう変わられるか」「お子さまが独立したらどうなるか」「働き方が変わったらどうなるか」「年齢を重ねられたときどう使われるか」といった未来も想像しています。

完成した瞬間に評価される空間ではなく、10年間の暮らしによって価値が育っていく空間を願って日々向き合っています。

 

リノベーションについて熱く語る宮本嘉明(株式会社nine for)

 

時を重ねるほどに愛せる場所へ

ブランドステートメントの「完成がゴールではない」という言葉の先にある、お客さまの理想的な日常についてお聞かせください。

理想は「住まいを意識しなくなること」です。

「住まいが主役になることではなく、住む人の人生が主役になること」だと思います。

そこに住む人の背景をデザインすることを意識しています。

「住まいを意識しなくなる」というのは、究極の心地よさかもしれませんね。

本当に良い空間は、時間が経つにつれて空間そのものを意識しなくなります。

その代わりに、「子どもの成長」「家族との思い出」「趣味の時間」「友人との食事」といった人生の出来事が空間に積み重なっていく。

10年後、住まいを評価するときの言葉は、「かっこいい家だった」ではなく、「この家で良い時間を過ごせた」となることを望んでいます。

「完成がゴールではない」とは、リノベーションによって住まいとの関係性を整え、その先にある人生の時間を豊かにすることだと考えています。

 

迷いや不安も住まいづくりの一部

理想のイメージが固まっていなかったり、抽象的な不安を抱えていたりする方に対して、まず「世間話をする感覚で」と仰る理由について教えてください。

「理想の家」については話せなくても、「最近ハマっていること」「休日の過ごし方」「好きなカフェ」「お子さまとの時間」「旅行先で心地よかった場所」についてなら自然と会話は弾むと思います。

そして実はその何気ない会話の中にこそ、「どんな時間を大切にしているのか」「どんな空間に安心を感じるのか」「何を豊かさだと感じるのか」という、その人らしさのヒントがたくさん隠れています。

家の話ではなく、人生や価値観の話が大切なのですね。

「どんな家が欲しいか」だけではなく、「どんな人生を送りたいのか」です。

だから世間話は雑談ではなく、その人の暮らしを理解するための大切なプロセスです。

不安を解消するより、不安の正体を一緒に探すという感じでしょうか。

お客さまとの対話の中で、「狭さの問題だと思っていたら、実は収納の問題だった」「間取りの問題だと思っていたら、家族との距離感の問題だった」「デザインの問題だと思っていたら、暮らし方の問題だった」ということが見えてくることがあります。

大切なのは、不安を急いで解決することではなく、不安の正体を一緒に見つけることだと思います。

自分の本当の想いに気づくことからすべてが始まるのですね。

リノベーションを考えるとき、最初から理想のイメージが固まっている必要はありません。

むしろ、「何か違う気がする」「もっと自分たちらしく暮らしたい」という小さな違和感こそが出発点です。

大切なのは、正しい答えを持ってくることではなく、自分たちの暮らしについて話してみることです。

好きなこと、嫌いなこと、休日の過ごし方、将来のこと。

そんな何気ない会話の中から、本当に大切にしたい暮らしが少しずつ見えてきます。

とても心強いメッセージです。リノベーションは、自分自身を見つめ直す機会でもあるのですね。

リノベーションは住まいを変えるためだけのものではありません。

自分たちの価値観と向き合い、これからの時間をどう過ごしたいかを考える機会でもあります。

だから理想がまとまっていなくても大丈夫です。

「世間話をする感覚」で、まずは今感じていることを聞かせてください。

そこから一緒に、あなたにとっての「納得」を探していければと思います。

 

 

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