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「本音でリノベトーク」第7弾はカップボードにフォーカスします。
前回の「フルオーダーで理想の家具をつくる」の中でフルオーダー家具のメリットとデメリットについてお話しましたが、今回はフルオーダーカップボードについてより詳しくお話しできたらと思います。
既製品のカップボードは世の中にたくさんあるのですが、お客さまごとのニーズに合った「これ!」というものが中々見つからないという印象です。
お客さまごとに使い方が違いますので、既製品の中からベストなものを選ぶのには限界があります。
であれば「ベストマッチするものを作ってしまいましょう!」というのがフルオーダーカップボードです。
これからカップボードを探す予定やオーダーしようとご検討中の方にはご参考いただける内容だと思いますので、是非最後まで動画と併せてご覧くださいませ。
失敗しないフルオーダーカップボード
失敗しない方法 – その1
これまでに当社ミヤモトは、マンション(新築マンション・中古マンション・居住中)や一戸建ての住宅、オフィスや店舗など、200件以上の空間づくりを担当させていただきました。
もちろんフルオーダーカップボードも数多く手掛けてまいりました。
その経験の中でも強く感じることで当たり前のことなのですが、第一に絶対に言えることは「すべてを業者任せにしてはいけない」ということです。
「業者の方が知識も経験も豊富だから、まるっとお任せできそう。」と思われると思います。
もちろんまるっとお任せはできるとは思います。

ですが、そのオーダーしようとしているカップボードを使う人は他でもないあなたです。
カップボードをつくる人が「この方が使い勝手が良い。」と考えたとしても、実際にそれを使うあなたが「私もその方が使い勝手が良い。」と考えが一致するとは限りません。
例えば、カップボードにゴミ箱を収納するスペースをつくるとします。
その位置がカップボードの右に配置するか、左に配置するかだけでも違います。
実際に使う方が仮に右の配置が良い場合、右の方が良いという理由があるはずです。

キッチンでお料理をする時に、シンクの位置、コンロの位置、食器をしまっている位置、炊飯器やオーブンレンジの位置、調理器具の位置などなど、どの様な動線で使うかということをしっかりと考えたほうが間違いなく満足度の高いカップボードをつくることができます。
収納の数や棚板の数、高さや幅などもとても重要です。
これらをもとに図面を引いてください、というわけではありませんのでご安心ください!
重要なポイントは、カップボードをどの様な動線で使い、どの様なものを収納したいか、というご要望をしっかりとイメージしていただくということです。
そのご要望をもとに、「こうすればもっと良いかもしれないですね!」など当社から提案をさせていただきつつ、理想のフルオーダーカップボードを具現化していきます。

業者にまるっとお任せした場合、見た目が良いものは出来上がると思います。
例えば、生活感が出ないように調理家電やゴミ箱をすべて隠す仕様になったとします。
見た目には美しいですよね。
ですが、毎日使う人からするとちょっと不便に感じるかもしれません。
生活感が出ないように隠すということは、扉などで隠すことになると思います。
お料理中にさっと使いたい調理家電やゴミをさっと捨てたい時、隠すための扉があると不便だと感じられることもあります。
美観を重視してその手間を惜しまない、というご要望も実際にたくさんございましたので、ひとつ決まった正解があるわけではないということです。
あなたの正解はあなたが持っている、ということですので、たくさんご要望をお聞かせいただければ幸いです!

簡単ではありますが、当社でのフルオーダーカップボードをつくる時の進め方をご紹介させていただきます。
まず、お客さまと一緒に大まかな全体の形を決めさせていただきます。
カップボードのベーシックな構成ですと、腰位置より下の収納として下台、上部には吊り棚、その間は空いている状態で下台の天板に調理家電を配置したり調理台として活用するセパレートタイプがあります。
はたまた、生活感を排除するためにすべて隠したい場合の構成は、すべて扉などで覆うケースもあります。
扉は縦方向をすべて覆うスライドドアで隠すという方法もあります。
次に、「どこにコップや食器を収納したいですか?」「どんなサイズ感の食器をどれくらい収納したいですか?」など使い方や収納したい物をお聞きしつつ、どの様な引き出しをどこに配置するか、より具体的に詳細を決めていきます。
普段のキッチンでの動きをお聞きしつつイメージしていきます。
それぞれの高さも大切です。
例えばセパレートタイプの下台の高さを決める時に、使う方の身長を考慮します。
基本的な下台の高さはキッチンと合わせることが多いのですが、オーダーの場合は自由に設定することができます。
キッチンの高さは75〜85cmあたりに設定されていることが多いのですが、使う方の身長によっては「私にとっては少し高すぎる。」と感じられ、この場合は少し低めに設定させていただきます。
目線の位置でオーブンレンジなどの調理家電を使用したいというご要望もあり、逆に100cm程度の高めの設定にするケースもあります。
この高さを決めていく工程も、実際にどのようにカップボードを使うかというイメージをもとに決めていきます。

K様邸宅 – オーダーカップボードとアイランドキッチン

K様邸宅 – オーダーカップボードとアイランドキッチン

K様邸宅 – ミラー加工の面材を施したオーダーカップボード
以前に施工させていただきました当サイトでもご紹介をしております「K様邸」ではカップボードをフルオーダーでつくらせていただきました。
この実例では、カップボード全体を扉で隠したいというご要望でした。
全体を隠しているので生活感が出にくく美観が保たれます。
外観ではわからないのですが、内部構造としては上と下に分かれているセパレートタイプ的な側面を持っています。
下の部分は下台としての収納機能+ゴミ箱収納、中間部分は調理家電の収納スペース、上の部分は可動棚収納、という構成です。
それらすべての箇所に扉を取り付けることで全体を覆い隠し、生活感を感じさせないスタイリッシュな仕上がりにしています。
ゴミ箱の扉については、扉を開けた状態から扉自身もカップボードに収納できる仕様にしており、普段は開けた状態で使用し、来客時などは扉をしめて隠すというシーンを想定しています。(動画7:29付近)
また、中段の炊飯器の収納スペースは、使用時の蒸気が内部にこもらないよう、収納スペース自体が手前にスライドし、炊飯時のみ引き出した状態で使っていただく仕様です。
しっかりとお客さまのご要望をお聞かせいただくと、使い勝手と見た目の美しさが共存したフルオーダーカップボードをつくることも全く夢ではありません。
これが、すべてを業者任せにしてはいけないという理由です。
失敗しない方法 – その2
色味、素材、見栄えこの3つも絶対に拘ってほしいポイントです。
折角のフルオーダーです。色味も素材もすべて自由に設定することができます。
既製品の場合、いくつかある選択肢の中から選ぶこともありますが、その選択肢と組み合わせは無限ではありませんが数え切れないくらいあります。
カップボードの素材感と決める時に、よくご質問をいただく内容があります。
カップボードはシステムキッチンの背面に設置することが多いと思いますが、そのシステムキッチンの扉や引き出しに使われている木目や単色の面材に「合わせた方が統一感があって良いですよね?」という内容です。
合わせても良いですが、合わせないと空間の美観が破綻するかと言われればそんな事はありません。

想像してみてください。
実際にキッチンに立ってお料理をしていてキッチンとカップボードが一緒に視界に入る時に「統一されているなぁ。」と感じます。
キッチンから離れてリビングやダイニングからキッチンを見た時はどうでしょうか。
実際にはキッチンよりもリビングやダイニングで過ごす時間のほうが長いケースとします。
リビングやダイニングにいる時、キッチンの内側の面材は見えないと思います。
見えるのはキッチンの外側の面とその奥にカップボードです。
カップボードの面材をキッチンの内側に使われている面材に合わせたとしても同時に見ることは少ないということです。
空間ごとに見え方は変わりますので合わせたほうが良いケースもありますが、そこまで重要視しなくても問題ありません。

見た目の部分で最も重要なのは、引いてどのように見えるかということです。
面材を選ぶ時、色々なサンプルを取り寄せて手元で見比べたとしても、実際に出来上がったカップボードを間近で見ることはそうそう無いと思います。
空間全体として、カップボードを含めてどの様な印象を目指すかを考えることがとても重要です。
リビングやダイニングなど、普段長い時間を過ごす場所からどう見えるかということを想像すると空間全体として捉えやすいと思います。
空間全体で見ることで、カップボードやキッチン周辺にあるダイニングテーブルとチェア、周辺の壁紙、床材、扉などの建具も含めて考えるとカップボードの面材選びもイメージしやすくなってくると思います。
失敗しない方法 – その3
失敗しないための方法の3つ目はセパレートタイプに限った内容です。
セパレートタイプは下台と吊り棚とその間の空間を活用する大きく3つに分けた構成です。
下台の天板には調理家電などを置くスペースに活用しますが、この天板をキッチンの天板に合わせるかどうかです。
実際に「統一感を出したいのでキッチンの天板と合わせたい。」とご相談をいただくことが多く、確かに合わせた方が統一感も生まれます。

例えばキッチンの天板が大理石の場合、下台の天板も合わせるなら同じ大理石を使いたいところですが、大理石なのでコストはカジュアルではありません。
ご予算ではなく統一感を持たせることを重要視するのであれば特に問題ではありません。
ですが多くの場合、下台の天板には調理家電などを置いてしまうので、天板全面が常に見える状態とは限りません。
カップボード自体のサイズや形状にもよりますが、意外と置いた調理家電に隠されて天板はそれほど見えなくなるケースもあります。
この場合、小口と言われる天板の側面(天板の厚み部分)しか見えない状態です。
ですので、特別に天板に拘るよりはカップボード全体に対して下台の天板を決める方が良いと思います。
リノベーションをご検討中のお客さまへ
ここまでフルオーダーカップボードに関する色々なことをお話しさせていただきました。
「フルオーダーカップボードだけでも考えることがありすぎて大変!」と感じられたかもしれませんが、安心してください!
今はまだ漠然としたイメージだとしても、ナインフォーが全力で具体的なイメージに膨らませます。
そのためには、お客さまとの対話がとても重要です。
空間のデザインや生活動線のことなど、ちょっとしたお悩み相談から是非ご相談ください。
ナインフォーは、上質な内装デザインや高い施工品質は提供できて当然のことと考えており、もっと手前にある「お客さまのニーズを見極め、どのように具現化するか。」ということを重要視しております。
お客さまが伝えきれない「真の理想」を見つけさせてください。
ナインフォー代表「ミヤモト」のご紹介
ナインフォーが考える「良い空間」
良い空間とは、住まう人にとっての理想の空間です。住まう人にとっての理想の空間は、家族構成やライフスタイルによって十人十色だと考えています。
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