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照明は空間づくりの命とも言える重要なものです。
壁紙に床に、カーテンに家具に、ありとあらゆる要素にこだわり尽くした空間でも、照明計画をひとつ間違えるだけで天と地ほどの差がでてしまうことがあるほど重要です。
今回はミヤモトのリノベーションに対する本音も交えながら、照明計画のテクニックについてご紹介いたします。
是非動画と併せてご覧くださいませ。
照明テクニック徹底解説
色温度について
まず、照明の色温度について考えてみます。
色温度は照明の光の色味のことを指します。
照明の色温度は空間によって使い分け、お部屋の用途や作りたい空間の雰囲気に合わせて心地良いと感じられる色温度を選ぶ事が重要です。
想像してみてください。食事を楽しむためのレストラン、ゆったりと時間を過ごすためのカフェ、洋服を選ぶためのアパレルショップ、それぞれ空間の色味は違っているはずです。
それぞれに意味のある照明計画がなされており、目的に合わせた色温度が設定されています。
住宅でも同じように、寝室、ダイニングルーム、リビングルームなど、目的や用途によって色温度を考えることがとても重要です。
色温度が与える影響の大きさについて、以前にお客さまからいただいたご相談内容を例に挙げてお話しします。
今住んでいる部屋がとても冷たい雰囲気なので、床や壁紙などの素材を変えて温もりのある空間にしたい。
このようなご相談をいただき現地でお打ち合わせをさせていただいたのですが、実際には床材も壁材も温もりの感じられるものを使われていました。
原因は照明の色が蛍光灯色に近い白い光で、空間全体が白っぽく冷たい印象になっていることでした。
床材や壁材の張り替えが前提のご相談でしたが、「照明の色を変えてみませんか?」ということを提案させていただき、実際に照明をオレンジ系の暖色に変更したところ、とても温もりの感じられる空間に変わりました。
このように、空間のイメージを決定づけるほど色温度は重要なポイントです。
角度について
照明の光の角度は大きく分けて、広角、集光、ピンスポットなどがあります。
ではどのような違いがあるのでしょうか。
天井から床を照らしているひとつの照明を想像してみてください。
床を照らすその光は丸いシルエットになっています。
この丸い光が大きいか、小さいか、これを決めるのが照明の角度になります。
角度は照明の種類によって選ぶことができます。
よく使用されるシーリングサイトは、空間全体を広くまんべんなく明るくすることを目的に作られています。
用途によってはこれで良いかもしれませんが、空間により特別感を出したい場合は不向きかもしれません。
特別感を演出するための照明テクニックとして、ナインフォーが大切にしている「エリアを照らす」という考え方があります。
同じ空間の中のリビングスペースやダイニングスペースなどを個別のエリアと捉え、主に集光タイプの照明を使用してそれぞれを個別に照らすことで光のリズムを生み出します。
シーリングライトのように全体を照らさない分、明るい箇所と少し暗い箇所が空間の中に生まれ、メリハリを作るというイメージです。
暗い場所と書きましたが、見えないほど暗くはなりませんのでご安心ください。
また、より光の角度が狭いピンスポットはニッチでよく使用されます。
その他にも飾り棚に置くオブジェを照らしたり、空間のアクセントとなる観葉植物を照らしたり、玄関正面に飾るアート作品を照らしたりと、ピンポイントで際立たせたい箇所を作るために使用します。
ピンスポットが照らす対象物が無くても使用する例もあります。
例えば廊下です。
廊下に等間隔でダウンライトを設置するのももちろん良いですが、敢えて一部を照らすことで明暗を作り出し、ラグジュアリーな雰囲気を出すという方法もあります。
配灯について
どの箇所にどれくらいの数の照明を配置すれば良いかを考えるのが配灯です。
「折角ダウンライトを設置したけど引き渡し後に確認をしたらイメージが違う!」ということがあっては大変です。
一度設置したダウンライトの配置変更はできなくはないですが、再度天井周辺を触ることにもなりますし再度費用がかかってしまいます。
そうならないよう、しっかりと配灯計画をすることが重要です。
ですが、どの様に配灯すれば良いか、いざ考えてみると難しく感じられるかもしれません。
「角度について」でもお話しした通り、空間全体ではなくエリアを照らす考え方で進める場合、ダイニングルームであれば例えばダイニングテーブルを照らすよう配灯します。
こうすることで、ダイニングルームというエリアの中でも主役となるテーブルが照らされ、エリア内に光のリズムが生まれます。
リノベーションでは、石材タイルやウッドタイル、イタリア漆喰やモールテックス(塗り壁)などの壁材にこだわったシンボリックな壁面を作る事があります。
集光タイプのダウンライトを思い切ってその壁に寄せてしまい、壁材のテクスチャや凹凸を際立たせ、壁材の存在感をよりダイナミックに感じさせる事もできます。
分譲住宅として販売されているマンションや戸建ての多くは、標準で設置されているダウンライトは比較的均等に配灯されています。
これはこれで悪いわけではありませんが、この配灯方法ではシーリングライトと同じように空間全体を明るくすることになります。
あくまでも空間に特別感を出したい場合の方法として捉えていただければ幸いです。
もう一点、廊下での例もご紹介させてください。
廊下でも思い切ってダウンライトを壁側に寄せてしまう方法があります。
廊下は毎日何度も通るエリアで、意外と見落としがちな重要な空間でもあります。
配灯は空間の用途に応じて計画すべきで、すべての空間で特別感を出す必要はありません。
また、同じ空間でもシーンに合わせて照明効果を変えたい場合、電気系統の回路分け(スイッチを分ける)をすることで照明を使い分けるという方法もおすすめです。
ダクトレールについて
ダクトレールは、電流が流れているレール上のお好みの位置に照明器具を取り付けることができる配線器具です。
ライティングレールと呼ばれることもあります。
ダクトレールに取り付ける照明器具の種類も多く、ペンダントライトをはじめ自由に向きも変えることができるスポットライトなどがあります。
アパレルショップや飲食店などの店舗でよく目にするのではないでしょうか。
スポットライトは取り付け位置の他に照明自体の向きが変えられるため、アパレルショップの場合はポップアップイベント、飲食店ではテーブルの配置変えなど、空間内のレイアウト変更の時に非常に便利です。
最近では住宅に設置されているダクトレールもよく目にすることがあります。
ダクトレールの見た目の特徴としては、良くも悪くもカジュアルな印象を与えるという点です。
スタイリッシュでラグジュアリーな空間を目指す場合は、少しミスマッチになってしまうかもしれません。
ダクトレールはレール自体を完全に隠すことが難しく、照明器具自体は物理的にレールから必ず出っ張ってしまいます。
スタイリッシュでラグジュアリーな空間を作るためには、可能な限り無駄を削ぎ落としたダウンライトなどの方がおすすめです。
ペンダントライトについて
ペンダントライトは空間のアクセントとして使用することがあります。
例えば、店舗などで天井が高い空間に対して、空間の間延び感を抑えるために使用するケースがあります。
マンションでもペンダントライトを設置したいというご要望は多くありますが、マンションは天井高が低いことが多いため、ペンダントライトを設置する際は少し注意が必要です。
天井から吊り下げるペンダントライトは、当然のことながら照明自体が空間の一部を埋めてしまいます。
そのため、マンションなど限られた空間を広く見せるということにはあまり効果的ではありません。
ですが、上のリノベーションプランの画像のように、空間のアクセントとしてペンダントライトを設置することはあります。
次にペンダントライトの選び方をご紹介します。
まず、明るさを重視して選ぶと失敗しがちです。
「明るくするためにペンダントライトを設置しよう。」という考え方よりは、そのもののデザインや空間のアクセントになるかどうかで選ぶ方が良いと考えております。
空間全体を引いてみた時に、そのペンダントライト自体がアクセントとなり活かされる、またはそのペンダントライトが空間全体を活かすことができるものを選ぶことをおすすめします。
もう一点重要なのが光源です。
ペンダントライトを選ぶ際、できる限り光源が見えないものを選ぶ、ということもポイントになります。
空間のコンセプトについて
ここまでお話しさせていただいた内容は「絶対こうでないとダメ!」というものではありません。
すべては理想の空間、実現したい空間に何が相応しいか、ということです。
何を選択しても間違いはありません。
実現したい空間のコンセプトを明確にしたうえで、理想のリノベーションを進めていきましょう!
リノベーションをご検討中のお客さまへ
ここまで照明に関する色々なことをお話しさせていただきました。
「照明だけでも考えることがありすぎて大変!」と感じられたかもしれませんが、安心してください!
今はまだ漠然としたイメージだとしても、ナインフォーが全力で具体的なイメージに膨らませます。
そのためには、お客さまとの対話がとても重要です。
空間のデザインや生活動線のことなど、ちょっとしたお悩み相談から是非ご相談ください。
ナインフォーは、上質な内装デザインや高い施工品質は提供できて当然のことと考えており、もっと手前にある「お客さまのニーズを見極め、どのように具現化するか。」ということを重要視しております。
お客さまが伝えきれない「真の理想」を見つけさせてください。
ナインフォー代表「ミヤモト」のご紹介
ナインフォーが考える「良い空間」
良い空間とは、住まう人にとっての理想の空間です。住まう人にとっての理想の空間は、家族構成やライフスタイルによって十人十色だと考えています。
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